現在発売中のSKE48最新シングル「恋落ちフラグ」。SPA!取材班はMV撮影が行われた‘20年10月某日、今作のMV撮影に密着し、撮影終了後に今回の主役ともいえる松井珠理奈インタビューを実施した。

 グループの大黒柱であり続けた彼女の卒業シングルでもある今作の舞台裏や、後輩たちに対する思い、卒業後の活動などを聞いた。

SKE48の新しいスタートの曲

――バンテリンドーム ナゴヤセントレア空港など、MVの撮影場所が松井さんの活動の歴史にゆかりのある場所でした。撮影中、過去の思い出がよぎったことも?

松井 バンテリンドーム ナゴヤでは、初めてライブステージに立ったときの感動がよみがえりました。1曲目は「神々の領域」を1期生だけで泣きながら歌ったのを思い出して。一緒に歌ったみんなが今ここにいてくれればいいのになって思ってしまいました(笑)

でも、今のSKE48メンバーは当時まだいなかったコがほとんどなので、みんなで一緒にこの場所で歌って踊れたのはよかったなって感じます。

――コロナ禍で完全に止まっていた活動が、限定的ではあるけど再始動できてきた。その起点となるシングル表題曲を、全員参加で作れたのはグループにとっても大きいですよね。

松井 本当にそうだと思います。だから私の卒業のシングルというより、また新しいSKE48スタートの曲だと見てほしい。私が卒業しても、当然SKE48は続いていくし、私も新しい道を進む。ゴールじゃなくて、それぞれのスタートだと感じられる、明るく楽しい楽曲になっているんじゃないかと思います。

――今回はグループ初の全員参加ですが、松井さんの意向ですか?

松井 そうですね。今回は全員で歌うのがいいなっていうお話はさせていただきました。卒業する、それに合わせてシングルを出すと決まったときから、みんなで歌いたいとは思っていて。今までずっとみんなでやってきたから、全員で送り出してほしいっていう気持ちと、みんなにいろんな経験を積んでほしいという気持ちもあります。

10期生の子たちは初めてのMV撮影だったりするし、こういう機会でこそ直接教えてあげられることもあるのかなと思って。

◆選抜経験のないメンバーにもチャンス

――今回、鎌田菜月さんの話を聞いているときに、選抜を経験していないメンバーは、「私、本当にSKE48なのかな……」って思っちゃうこともあると話していました。そういうコたちにとって、全員参加はとても嬉しい機会だと思います。

松井 そうだと思います。でも、私は選抜だからどうとか、先輩・後輩とか関係なく接しているので、そこをわかってもらえたらいいなと思います。ファンの皆さんは、応援するメンバーが選抜に入ったり、センターに立ったりできたら嬉しいとは思うけど、どんなポジションにいたって見てくれるはずだから。

ずっとセンターだった珠理奈が、そんな気持ちわかるの?って思う人もいるかもしれない。でもAKB48と兼任したとき、チームKの公演では後ろの端っこで踊ってたんですよ。それでもファンの方は私を見てくれていました。

センターにいる(大島)優子さんに負けないくらい、後ろにいる私を思わず見てしまうくらいのパフォーマンスをしてやろうって気持ちで燃えてましたから。実はそういう気持ちも知ってるからこそ、伝えられることもあるのかなって思います。

◆後輩たちに大きな期待

――全員参加の中、9期生の青海ひな乃さんがフロントへ大抜擢。松井さんから見ても、期待できる存在ですか?

松井 すごく期待してます。グループに入ってすぐ劇場公演でセンターをやっていたり、私と似た経験をしているし、それがプレッシャーだったとも聞いているので。本人は強がってるけど、周りの目を気にして不安もあったみたいで、いろいろ話をしてきました。

ステージでも華があるし、真ん中にいるからじゃなくて、本人が目を引く存在だと思います。そういう何かを感じたので、近くで踊ってバチバチやってみたいなと思ってたから、いい機会になったかな(笑)

劇場でセンターを経験して乗り越えてきたからこそ、次はシングルで前に出たらどうなるのか。また成長してくれるんじゃないかと思ってます。

――青海さん本人は、松井さんと並ぶシーンの撮影前に「普段はあんまり緊張することがないけど、今日はめちゃくちゃ緊張してる」と言っていました。

松井 リハーサルの時点から「やばい」って言ってましたね。でも、見てたらカッコいいし、ダンスもよかったなって思いましたよ。

◆「センターを目指す」宣言する後輩に思うこと

――松井さん卒業後のSKE48をどうしていきたいか、という質問をいろんなメンバーに聞いたんですが、ほとんどのメンバーが「まだ実感が湧かないけど」という話をしていたなかで、熊崎晴香さんだけが「私はセンターを目指します」と即答したのが印象的でした。

松井 え、くまちゃんそう言ってたんですか。嬉しい。そういうところがいいんです。最近はくまちゃんもどんどん前に出てきてたなかで、2番手というのは初めてだったんじゃないかなと思うんですけど。

リハーサルからいつも全力なのが素敵だし、そういうのってメンバー同士しかわからないじゃないですか。そういう努力を認めるのはすごく大切で、くまちゃん本人だけじゃなく、グループにとっていいことだと思う。あれだけ頑張っていれば前に出られるんだってわかってほしい気持ちもあったので、今回、こういう並びになってよかったなって思います。

応援してるファンの方からみても「センターになりたいです!」って気持ちを全面に出してくれるほうが応援しがいがありますもんね。くまちゃんは、その資格もあるコだと思うので、楽しみです。

◆卒業してもファンの方とコミュニケーションを取っていきたい

――リップシーンの撮影では、納得いくまで終わらせなかったので、かなり長めでした。どんな場面でも全力でやる姿勢を背中で見せたのかなと感じました。それとも、自分のなかでは普通のことという感じですか?

松井 そうですね。リップシーンも含め、何かを表現するときは外から自分を見た姿も想像しながらやってるんです。バチーンと決まるときと、ちょっと不安なときがあって、自分がどう映ってるかも大体わかるから、テイクを重ねるたびに「もうちょっとカッコよくできたかな」と思って何度もやり直してました。

周りの人たちは「もう今のでよかったんじゃない?」と思うかもしれないけど、自分ではもっとできるなと感じることがこの撮影では多かったですね。

――セントレア空港のスカイデッキで撮影したソロのシーンでは、冗談めかして「ヤバい、泣いちゃうかも」と言っていましたが、最後のシングルMVという実感が湧いたのでしょうか。

松井 実感、湧きましたね。カメラに背を向けて歩いていって振り返るシーンでは、歩いてる時に「うっ」てなりました。ちょっとヤバかった。我慢しましたけど。もしあそこで目の前にメンバー全員がいたら、泣いてたかもしれない。明るい曲だし卒業がテーマでもないし、撮影中もわいわい楽しかったから、そういう気持ちになったのは唯一あのシーンだけです。


グループ卒業後のモチベーションは?

――卒業ライブなど、他のメンバーに関することでは泣く姿を見るけど、自分のことではあんまり泣かないイメージがあります。

松井 そうかも! 人のことは感情移入してよく泣くけど、自分のことではあんまり泣けないタイプです。基本的に、原動力、活動の源は自分がどうこうのモチベーションより、ファンの方や周りのメンバーだったりするので。例えば昔AKB48と兼任になったときも、自分が有名になりたいとかじゃなくて、SKE48を広めるために頑張ろうと思ってたみたいに。

――だとすると、グループ卒業後にモチベーションを保つのが難しそうです。

松井 そうですね。これからは、誰かのために頑張るっていうより、自分の好奇心を最大限に出していくのがいいかなって思ってます。新しい世界に飛び込むのは好きなので。今は基本的に日本で活動してるけど、今後はいつか海外にも行けるようになりたい。新しい扉を開いていくことを楽しんでいきたいです。

今はSNSを通じて海外にも発信できるから、最近YouTubeを始めました。SNSのフォロワーのインサイトを見たら、実はタイとインドネシアファンの方がすごく多くて、二つの国を足すと日本より多いくらいなんです。

まだ状況的に難しいけど、いずれはいろんな場所に会いに行きたいと思います。今までは実際に会える機会が少なかったけど、一人になったらフットワークが軽くなって、行きやすくなると思うので。

◆グローバルに挑戦していきたい

――「恋落ちフラグ」MVの映像で、外国語の言葉が使われていたのもその気持の現れでしょうか。

松井 そうそう、いろんな国の言葉で「ありがとう」って言葉を入れてくださいって伝えていて、グリーンバックで撮ったところに合成で入れるかたちになりました。

そういう気持ちを秋元(康)先生もわかってくださってて、歌詞に英語がたくさん入ってるのかな。けっこう難しいので、覚えられるかな……って不安なメンバーもいたと思う(笑)

――語学の習得も視野に入れている?

松井 これからどんどんやっていきたいです。タイやインドネシアに移籍したメンバーもいるので、コミュニケーションを取りつつ、インスタライブで繋いだり、どんどん勉強していきたいです。

――私も過去にインドネシアに3年住んでいたんですが、インドネシア語は割と覚えやすいのでぜひ挑戦してみてほしいです。

松井 本当ですか? 少しずついろんな言葉を覚えていきたいとは思ってます。少しだけ勉強してる韓国語は、日本語と同じ音の単語もあるので少しは覚えやすいかもと感じました。

YouTubeファンの方と交流していきたい

――YouTubeで、海外の方にも見てもらえるように意識することは?

松井 英語の字幕はつけたいし、一緒に企画を考えてくださる方の中には英語を話せる方もいるので、いろいろ話しながらやってます。

私のチャンネルは、視聴者の方と一緒にみんなで作っていこうというコンセプト。長くアイドルをやってきたなかで、ファンの皆さんに支えてもらってきたから、卒業後もそれを続けたいと思っていて。

チャンネル名も一緒に決めたし、コメントとかでファンの方が考えてくれた企画で、いいなって思ったら採用したいし、いろんなコミュニケーションをとっていきたいなって思います。

取材・文/森ユースケ 撮影/藤田真郷



(出典 news.nicovideo.jp)


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