約3年4ヵ月ぶりのフルアルバム『16thThat’s J-POP〜』をリリースするモーニング娘。’21。今なお進化を遂げるグループをけん引するのが、最年長の9代目リーダー譜久村聖である。今年1月、同期の9期メンバー生田衣梨奈とともに在籍期間が10年を突破。リーダー歴も約6年4ヵ月を超え、歴代最長記録を更新中だ。しかし、リーダー就任間際には、グループ内での立ち回りに悩み「自信がなくて落ち込んでいた」時期もあったと明かした。

【写真】今年25歳 “大人の色気”あふれるモー娘。リーダー・譜久村聖

■「私には個性がない」…自信喪失のなかリーダーに就任

 幼少期からハロー!プロジェクトに憧れていた譜久村は、2008年6月に育成組織のハロプロエッグ(現・ハロプロ研修生)へ加入。2011年1月にはハロプロエッグから初めて9期メンバーとしてモーニング娘。入りを果たす。

 その後、2014年11月に卒業をした道重さゆみからバトンを託されて、9代目リーダーに就任。2019年6月には、アンジュルム和田彩花の卒業に伴い、ハロプロリーダーとしての役割も受け継いだ。

 来歴をたどると、順風満帆に見える譜久村のキャリア。しかし、過去には思い悩む時期もあったと振り返る。それは、道重が卒業をする直前で、譜久村がサブリーダーを務めていたモーニング娘。’14時代だという。

 「ちょうど“再ブレイク”と評価していただいていた時期で、私たちもその空気を感じていました。ただ、ほかのメンバーには個性があったのに、私には何があるのだろう…と自信がなくて。メンバー全員がそろう取材では、満足に話すこともできず、サブリーダーとして道重さんをうまく支えられなくて。終了後にその場面を思い返しては勝手に1人で落ち込んでいました」。

 そんな葛藤を抱えたまま、リーダーに就任したが、伝統あるグループを守らなければいけないという強いプレッシャーを感じ、しばらくはグループをまとめることに苦戦していたと明かす。

 「『頑張らなきゃ』と思いながらも気持ちはつらかったです。私たち9期が引っ張らなければいけなかったけど、それぞれの意見があって、私がリーダーとして意見をまとめたり、メンバーに思いをうまく伝えたりすることができませんでした。私ができていないのに、ほかのメンバーを注意することはできないという遠慮もあって、なんでも1人で背負い込んでしまっていました」。

■不安だった武道館から大型フェス6万人のステージに立てるまで

 譜久村、そしてグループにとって、当時モー娘。の象徴だった道重の存在は偉大過ぎたのだろう。「『先頭の道重さんについて行けば大丈夫!』と思ってずっとやってきたので、卒業されてからは心配しかなくて…。日本武道館ステージは自分たちだけで大丈夫なのか、お客さんは来てくれるのかとメンバー全員自信がなかったですね。私がリーダーになったことに対しても絶対に何か言われるだろうと不安でした」。

 そう感じていた譜久村を支えたのはファンだという。「その頃、握手会などでファンの方がすごく心配してくださって。『フクちゃんらしくでいいんだよ』とか『変わらなくていいから』とか、優しい言葉をかけてもらったときに『私を一番好きでいてくれる人のためにまずは頑張ろう』と思ったんです。自分自身を無理に変えてしまえば、悲しむのはその方だし、好きと言ってもらえている自分らしさを大切にしようと意識も変わりました。

 気持ちが楽になってきたのはリーダーになってから2年後くらいです。私と同期のえりぽん(生田)、10期のあゆみん石田亜佑美)やはるなん(飯窪春菜)の“お姉さんズ”でいろいろと相談するようになって、1人で抱えていたこともメンバーに任せるようになったのが大きかったです」 。

 グループにとって欠かせないパフォーマンス面でも変化はあった。譜久村が転機と感じているのは、2018年に初参加した日本最大の夏フェスROCK IN JAPAN FESTIVAL 2018」(以下、ロッキン)だ。

 2018年には単独ツアーハロプロ合同ツアーで年間約100本のステージに立つモー娘。だが、ロッキンは、彼女たちのパフォーマンスを初めて観るというオーディエンスが大多数のいわばアウェイステージだ。

 30℃を超える真夏に、約40分間ほぼノンストップ、全11曲ダンスナンバーを全力パフォーマンスしたモー娘。に驚いた観客は、“体力おばけ”と称賛。その時のステージを譜久村は「初めてだったし、たくさんの人に響かせたかった」と当時の強い思いとともに、「多くの方に評価いただけたのですが、実は1曲目から飛ばし過ぎて、後半戦がフラフラだったんです。心臓が宙に浮いてる感じで(笑)。それがすごい悔しくて、翌年も絶対出たいと思って1年間かけて筋トレを頑張りました」と振り返る。

 翌年のロッキンでは前年の評判を受けて、最大規模の6万人収容のステージに立つことに。「筋トレを始めてからどんどん体が変わって、食事にも気を使うようになって、炭水化物を食べた翌日には『体が重くなった』から調整するみたいな、感覚的に管理ができるようになりました。そのおかげで、グループツアーでも後半戦にバテなくなりましたし、翌年ロッキンの大きなGRASS STAGEで最後まで全力でパフォーマンスができて、本当に達成感がありました。グループとしてもロッキンのおかげで成長できたと感じています」。

■自身の卒業 そしてグループの新陳代謝への期待

 伝統を受け継ぎながらも、進化を続けるモーニング娘。だが、譜久村はグループの未来をどのように考えているのか。

 2019年6月に加入した岡村ほまれ、北川莉央、山崎愛生の15期メンバーを譜久村は「自分自身を表現する力が高くて、私たちが加入をしたばかりの時にはできなかったこともさらっとできてしまうんです。人類の成長を感じるというか(笑)中学生ってここまでできちゃうの?って感じてしまうくらい。自分が『どうありたいか』をしっかりと考えている」と絶賛。

 その15期メンバーが初参加した16枚目のフルアルバム『16thThat’s J-POP〜』が3月31日リリースされる。譜久村は「私が最年長の24歳で、15期が加入をして最年少が15歳と世代も広がり、いろいろな声質の子たちが集まったので、全員で歌うとすごく明るくなるんです。個人的にはこれまで参加したアルバムの中で一番好きといえるほどの自信作です」とニッコリ。

 「今までの私たちは『グループで勝負していく』という気持ちが強かったんです。全員でそろうときが一番強いけど、これからもっと一人一人がいろいろなジャンルへ羽ばたければ、よりカッコいいグループになれると思います。例えば、13期の加賀楓ちゃんは“ショートカットアイドル”として女子人気も高く、12期の牧野真莉愛ちゃんもソロでグラビアのお仕事を頑張っているし、メンバー一人一人の魅力を知っていただけるようにしたいです」と今後を見据える。

 道重がグループを卒業したのは25歳。ほかのハロプロメンバーでもJuice=Juiceリーダーだった宮崎由加アンジュルム和田彩花も25歳でグループを卒業している。今年10月30日で25歳を迎える譜久村に、自分自身の“卒業”への考えを尋ねた。

 「卒業を考える機会はたくさんあります。年齢になったからというより、常にモーニング娘。は変化するグループなので。でも、つんく♂さんやスタッフの方から『モーニング娘。に卒業や加入のシステムがあるのは、メンバーにも一人一人の人生があるから。卒業しなきゃいけないと決まっているわけではないから、自分の思うがままでいいよ。母になってモーニング娘。ってのもいいんじゃない』というお話を聞いてから、考えも変わりました」。

 その一方で、「自分のパートをほかのメンバーが歌っているのを見てみたい」という気持ちもあるという譜久村。「もし卒業を決めるとしたら、モーニング娘。に変化を加えたくなったときです。個人的には、まだまだやってみたいお仕事もあります。最近、女性ファンの方から『フクちゃんみたいになりたい』と言ってもらえるようになったのがうれしくて。これまでは男性誌のグラビアに出させていただくことが多かったので、女性誌にも進出できたらなと思っています」。(取材・文:カネコシュウヘイ 写真:ヨシダヤスシ)

※山崎愛生の「崎」は(たつさき)が正式表記

モーニング娘。’21リーダー・譜久村聖  クランクイン! 写真:ヨシダヤスシ


(出典 news.nicovideo.jp)


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